示談交渉

交通事故に遭って車の破損や怪我などの被害を負ってしまった時、「自分は全く悪くない」という事故であれば過失割合は10:0になり、治療費や修理費を負担する必要はありません。しかし一方で、保険会社が示談交渉を代わりにしてくれなくなるという問題が浮上してきます。

示談交渉を保険会社が代行してくれない理由、交渉を自分でするデメリットをみていきます。10:0の示談交渉を成功させるためには弁護士に頼むのが一番良い方法であることが分かってもらえるよう解説していきたいと思います。

交通事故の過失割合が10:0になる交通事故とは?

「過失割合」とは、発生した交通事故に対する責任(不注意、過失)の割合のことです。被害者側にとって避けようのない事故、明らかに加害者にのみ原因がある事故の場合過失割合は10:0になります。次のような条件にあてはまる場合、過失割合が10:0となります。

自動車同士の事故の場合

  • 加害者が重要な交通ルールを破って事故が起こった場合(信号無視など)
  • 被害者が赤信号で停車中に後ろから追突された場合
  • 加害者がセンターラインを超えて事故が起こった場合

自動車と歩行者の事故の場合

  • 信号機のある横断歩道を歩行者が青で横断し始めた時に事故が起こった場合
  • 信号機のない横断歩道を歩行者が横断していて事故が起こった場合

自動車と歩行者の事故も増えています!

自転車ブームの影響でロードバイクなどスピードの出やすい自転車を利用する人が増える中で、自転車と歩行者の事故も増えています。自転車の絡んだ事故には、被害者が死亡したり重症を負うような重大事故の危険も潜んでいて、保険への加入も義務付ける都道府県も増えています。

自転車も車両の一種なので、過失割合の基準も自動車対歩行者とおおむね同様です。車の信号が赤なのに進入した、歩行者信号が青の時の横断者にぶつかった事故は全て10:0となります。

一つ特殊なのは、横断歩道内(自転車横断帯ではない)での衝突事故の過失割合は10:0となるということです。これが自転車横断帯内の衝突であれば5:95と歩行者側の過失が大きくなるので、過失割合のことを考慮しても、自転車横断帯内を通行するよう心がけましょう。

過失割合の修正要素!個別の状況で修正される

ここまで典型的な10:0になるケースを見てきましたが、これらはあくまでも例であり、実際には全く同じ状況、何の影響もない環境で事故が起こるということはまずあり得ません。

そのため、似たような事故を基本としながらも、個別の状況に応じて過失割合を修正していき、最終的な決定がなされます。修正要素として考慮されるのは、運転していた時間帯や歩行者の年齢などさまざまですが、これらの修正要素がどう考えるかが示談交渉の場でも重要になってきます。

過失0の事故を自分で示談交渉をするデメリット

交渉は基本的には保険会社の仕事

前述した通り、過失割合の決め手となるのは事故が起こった時の詳細な状況です。事故現場を確認したり当事者の聞き取りをするのは警察の仕事ですが、警察は過失割合の決定には一切関わりません。なぜなら、過失割合の決定は民事上の問題であり警察には「民事不介入」という重要な決まりがあるためです。

そのため、過失割合は事故の加害者側と被害者側双方の話し合いにより決定されます。ただし実際に当事者同士が交渉することはほとんどなく、通常それぞれの加入する保険会社が代行してくれます。

10:0の場合は保険会社に交渉代行を頼めない

保険会社が被害者に代わって示談交渉ができるのは、賠償金の支払いを保険会社が行う場合、つまり過失割合の交渉における当事者だからです。被害者に過失がない事故の時には保険金の支払いもないため、当事者でない保険会社は法律上示談交渉ができません。

過失割合10:0の事故に遭った時、被害者自身で示談交渉をしていかなくてはなります。しかし加害者側の保険会社は保険金の支払いを少しでも減らしたいので、加害者に有利なように交渉を持っていこうとします。過失割合が減れば過失相殺という制度によって賠償額が減額されるからです。

自分自身で示談交渉をするデメリットとは

過失割合や交通事故に関する法律的知識がない人が、示談交渉のスペシャリストである保険会社と対等に話し合うのはかなりの困難です。自分で示談交渉をして起こりうるデメリットとして、以下のようなことがあげられます。

  • 修正事項を主張され、加害者側の過失割合が減ってしまう
  • 最も低く算出される「自賠責保険基準」で提示された慰謝料をそのまま受け入れてしまう
  • 慣れない交渉による拘束が精神的・肉体的ストレスとなる

さらに示談交渉がうまくいかなかった場合には

  • 示談不成立で、損害賠償を受け取れない→時間もお金もかかる民事裁判に

というケースもあります。

この他にも、相手が損害賠償請求に応じてくれない、相手側に支払い能力がないなど、示談交渉の際に起こりうるさまざまトラブルに対しても、専門知識がなければ泣き寝入りしてしまうケースも多いです。

弁護士に示談交渉を頼むメリットと選び方

示談交渉を弁護士に頼むメリット

被害者本人の代理で示談交渉ができるのは弁護士・行政書士と法律で定められています。しかし行政書士は「代理交渉が可能な限度額」があるため、人身事故だとしたら通院費、治療費、車の修理費など実費だけでも高額になりがちな交通事故の場合は、弁護士に頼むことになるでしょう。

弁護士は法律的な知識や過去の判例にも詳しく、依頼者=被害者に有利なように示談交渉を進めてくれます。弁護士に依頼することのメリットはいくつもあります。

 

  • 被害者に有利なように交渉を進めることができる
  • 保険会社の基準ではなく、弁護士基準の慰謝料を請求できる
  • 示談書など必要な書類の準備も全て弁護士にやってもらえる
  • 自分で示談交渉をするストレスがない

弁護士に示談交渉を頼んだことで、「最初に保険会社が提示した金額が最終的に三倍に増額した」、「当初は含まれていなかった休業損害も含めた額になった」など、被害者が納得できる交渉結果を得られたケースはたくさんあります。

弁護士に頼むとお金がかかる?

弁護士費用を払うお金がないから頼めないと思っている人は、弁護士特約に加入しているかどうかを確認してみてください。弁護士特約とは損害保険に任意で付加できる特約(主契約とは別のオプションとしての契約)で、自分の保険会社が弁護士費用を負担してくれる制度です。

弁護士への報酬や訴訟費用だけでなく「法律相談・書類作成費用」を負担してくれる場合もあるので、弁護士費用がどの程度かかるか知りたい、とりあえず相談だけしたいという人でも使えます。

弁護士特約で支給される金額は上限300万円で設定している保険会社が多いです。弁護士費用は補償金額にもよりますが、一般的な交通事故の場合60万円から90万円程度が相場とされるので、補償金額としては十分足りる額となっています。

弁護士の選び方

弁護士特約を利用する場合、保険会社から弁護士を紹介してもらえる場合もあります。もちろん、その人に絶対依頼しなくてはいけないということはなく、自分で探した弁護士に依頼した場合でも弁護士特約は有効です。

弁護士は人によって得意分野がちがいます。交通事故の示談であれば、交通事故の示談交渉が得意な弁護士に頼んだ方が当然交渉がうまくいく可能性は高いです。弁護士を探す時には、過去に交通事故関係の実務実績が多いかどうか、交通事故はもちろん保険や医療など幅関連分野の知識が豊富かどうかが重要になります。

まとめ

過失割合の交渉がなぜ重要か、過失割合が10:0の事故の場合なぜ弁護士に頼むべきか、分かっていただけたでしょうか。自分は悪くないのに交通事故に遭ってしまった、でも保険会社は示談交渉をしなくて困っているという人は、弁護士に一度相談してみましょう。示談交渉を成功させるためには、専門家である弁護士の力を借りるのが一番です。