人身事故と物損事故とは?

交通事故では人身事故と物損事故に分けられますが、どちらで扱われるかによって結果が大きく異なってきます。

「人身事故」とは怪我をした、後遺症が残った、死亡したなど人の生命や身体に損害が発生する事故のことです。
「物損事故」とは車が破損した、ガードレールを曲げた、店舗を破壊したなど物損が発生した事故のことです。
例えば、車同士の事故で搭乗者に怪我等の問題がない場合は物損事故として扱われますが、後になってから搭乗者にむち打ちなどの障害が出てくると人身事故に切り替えられることになります

交通事故の加害者はできるだけ物損として事故を処理したがりますが、その理由として、人身と物損には処罰の重さに違いがあるためです。
交通事故を起こした加害者には行政処分、刑事処分、民事処分の3つの処分が課せられます。

行政処分とは、道路交通法に基づき行われる運転免許証の違反点数加算、免許停止、免許取消、反則金などのことです。
物損では行政処分が行われることはほとんどありません。もちろん、信号無視などの道路交通法違反を犯した場合は物損のみでも処分を受けますが、人身の場合は被害者の怪我の状況によって重い行政処分が科せられます。

刑事処分と人身事故

刑事処分とは、裁判による罰金や懲役が決定されることです。
人身事故で加害者の過失が大きく、被害者の怪我が重いと自動車運転危険致死傷罪や危険運転致死傷罪刑事処分が適応され、刑事処分の対象となります
警察による事故現場の検分にて加害者を書類送検をするか判断し、その後、検察が事故を起訴するかしないか判断します。不起訴となった場合は刑事処分には値しないと判断されたことになりますが、起訴となった場合は加害者の過失と被害者の怪我の程度により「略式裁判」か「通常裁判」に分かれます。相手を死亡させた場合は通常裁判になります。

民事処分とは、被害者に行う損害賠償のことです。
損害賠償は人身でも物損でも行わなくてはなりません。一般的に人身の方が治療費や入院費、また後遺症や死亡した場合は逸失利益なども発生するため膨大な損害賠償が発生するとされ、これまでの最高賠償額は5億円を超えています。物損でも事故によっては億を超えることはありますが、そこまでの大きな賠償事故は稀です。
損害賠償金は自動車保険にきちんと加入していれば自らの負担なく支払うことができるので、そう言った意味では行政処分や刑事処分に比べて大きな問題ではありません。

こういった問題があるため、交通事故の相手によっては人身事故にしないでくれと懇願してくるケースもあります
人身になるとどうしても公にならざるを得なく特にタクシーやトラックなどの業務では営業の許認可に影響し、また、免許証の点数が停止または取消ギリギリになっている人も物損での処理を求めてくるでしょう。しかし、物損で処理してしまうと、被害者には治療費や慰謝料の支払いが行われないので損害賠償額が大きく減り、損をすることになります。そのため、怪我等がある場合は必ず人身で処理してもらうことが大切です。

初めは物損事故で処理した場合でも、医者の診断書があれば人身として扱いを切り替えてもらうことができます。ただし事故から日数が経っていたり、事故状況と診断書の内容に食い違いが見られる場合は切り替えてもらうことができないこともあります。法的な期限はありませんが、目安として事故から10日以内に届け出をしましょう。

ちなみに、損害賠償額をより多く受け取りたいからと嘘の報告をして人身に切り替えようとする悪質な被害者もいますが、こうした悪質な被害行為も警察や保険会社は正しく判断しようとします。いずれにしても交通事故では加害者と被害者が連絡を取りあうことは避け、全て保険会社に任せましょう。